御殿場木材協同組合 木について
木について
[文化の原点 それは‥・木]

 日本人と木は、古来よりとても深い関係にあります。
 日本書記には「杉とくすの木では舟を、桧では宮殿を、まきの木では棺を造れ」という木の用途を示した一説が出てきます。
 日本古来の木造建築である、法隆寺の五重の塔はその通りすべて桧材で造られ、1,300年経た現在尚、朽ちることなく、文化遺産として、優美な姿で残されています。
 日本人の文化の原点、それは木と非常に密接な関係があるのです。

[環境破壊(木の伐採)]

 よく森林伐採イコール環境破壊と言われます。日本では国土の2/3が森林です。そして、その内40%が人工林となっています。人工林は畑の農産物と同じと考えて下さい。畑では種を、あるいは苗を植え、半年から一年で収穫するといったサイクルが木では50年とは60年とかずっと長くなるだけで、また再生することのできる無限の資源なのです。

[人と木の関係]

 しめきった狭い部屋に長時間いると、だるくなったり、やたらにあくびがでたり、思考能力が落ちた、なんて経験をされた方はたくさんいると思います。
 この原因は空気中の酸素の量が減り、二酸化炭素が増えた時に起こります。この狭い部屋の日当たりの良い所に、観葉植物の鉢植えのものを一つ置いてみて下さい。すると体の変調が起こらなくなります。これは、観葉植物がこ酸化炭素を吹い、酸素を吐き出すために、酸素不足にならないからです。
 森林もこの観葉植物と同じ働きをします。
 乱開発、自然破壊(森林伐採)はそのままにしておけば、この狭い部屋で生じた体の変調が、地球全体で起こって繰る可能性があるのです。
 そこで人工林であっても計画的な林業管理が必要不可欠なものとなってきます。

[間伐材は腐るのを待つ]

 森林の重要性はわかっていただいたとして、無限の資源である木を維持していくためには、どうしても伐採された後に、植林をしなければなりません。しかし、残念ながら現在の木材の最終的な販売価格から算出すると、立木自体の価値は魅力あるものとはいえません。つまり、林業は貯蓄資産からみても、経営的にみても成り立たないのが現状のようです。
 人工林を再生するには、植林したら20年間は下草刈りをしてやり、その後間伐や枝打ちと手間暇がかかり、そして、50年後にやっと伐採期にはいるという具合に、たいへん長い年月がかかります。
 その間に間伐された木はどうなるかご存じでしょうか。現在そのほとんどが倒されたまま、その場で腐るのを待っている状態なのです。これは、米材の輸入で、従来間伐材の用途となっていた根太や大引などを単価の安い輸入材でまかなうようになり、間伐材の使用用途が非常に限られ、商品価値がなくなってしまったからで、我々木材業者もなんとしてももったいないと思うし、その活用方法をいろいろ研究しているところなんですが、どうしても、搬出・運搬する費用だけ考えても採算が取れない状況なのです。

[現在の環境を次世代へ]

 ではどうすればよいのでしょうか。
 それは、消費者である皆様が森林の重要性を知り、それに携わる林業のたいへんさを理解し、間伐材で生産できる根太や大引などは国産の木材(桧)を使って欲しい、と施工業者に要望していただくことだと思います。そうすれば、腐るのをまっていた間伐材が製品として市場に流れ、その利益が森林に戻り、現状の環境のまま次世代ら引き継ぐことができると思います。

[環境・風土が文化をつくる]

 地球上にはいくつかの言葉があり、生活習慣の異なった民族がいくつあるんでしょうか。その数はわかりませんが、ただ、言えることは42億年前に地球が誕生しその後、数十億年かかって人類が誕生したときには文化というものはなかったということです。それが、いろいろな場所に分かれて生活するようになり、やがて、人類の進化とともに、文化が生まれてきたといわれています。では、言葉や生活習慣の違いはどうしてできたのでしょうか。それは、生活している所の環境や風土の違いから生じてきたのではないでしょうか。
 言葉や習慣が異なるように、住まいに関してもこの環境や風土の違いから、独特な特徴のあるものができてきたのです。そして、ここ日本に関しては木と住まいは切り離せない関係ができてきたのです。
 ところが、戦後の50年の間に日本住宅に大きな変化が起きてきたのです。それは住宅様式の西洋化に伴い、木の良さをあまり重要視しない住宅の作り方が主流になってきたのです。

[シック ハウス シンドローム]

 聞き慣れない言葉だと思いますから説明します。この言葉は10年ほど前からアメリカで生まれた言葉で、人間の体に悪い影響を与える建物のことを言います。どういったことがあげられるかと言うと、クロスを仕上げるには当然接着用ののりを使います。こののりには有機化合物(殺菌剤)が含まれており、少なからず人間に悪い影響を与えるものです。また、プラスターボードにクロス仕上げは吸湿性がほとんどありません。外気が80%になれば室内も80%になり、40%になれば同じように40%になるのです。アレルギー体質の子供たちが増えているといわれますが、この原因の一つであるものにダニ・カビがあげられます。このダニ・カビは湿度が70%以下に保たれていれば繁殖しません。特に湿度の高い日本では内装材に湿度調整のないものはシックハウスと呼んでよいと思います。

[木の特性]

■その1 【吸水性】
 木には吸湿性があることは知られていますが、一体どのくらいの量を吸収するのでしょうか。柱の大きさは一般的なもので、3mの10.5cm角です。この柱一本で湿度が40%から80%に上がったときに、なんと、1.2リットルの水分を吸収します。これは、一升瓶に2/3本分にあたる量です。

その2 【強度】
 木の強度の話をします。1,300年前の法隆寺の五重塔の桧と現在作られたばかりの桧材とどちらが強度があると思いますか。答えは五重塔の方がほんの少し強度がある、ということです。木の強度は作られてから2−300年後にもっとも強くなり、3−4割強度が増します。それから徐々に本当に少しずつ強度が落ちてくるのですが、1,300年たってもまだ、作られたばかりのものよりほんの少し強度があるのです。

その3 【視覚】
 住まいの内装は住む人が常に目にするものとして重要な要素があります。木材には細胞構造に基づく微少な凹凸があり、それにより光が散乱されることで、「つるつる」も「ざらざら」もしていない程良い光沢感やまぶしさを軽減させる特性があります。また、従来日本ではあまり好まれなかった節も人工的な印刷やなにかでは決して造ることのできない本物感、リアル感、実在感があります。さらに人に有害な紫外線は吸収し、暖かみをあたえる赤外線は反射するといった具合に視覚面でも素晴らしい特性があります。

その4 【断熱性】
 断熱材の多くはそれ自体では強度がないため、他の材料に保持されないとかたちが保てず「自立」できません。ところが木材は軽量であって強度があり、断熱性も断熱材に近い性能があります。皮膚の表面温度は環境によって鋭敏に変化しますが、コンクリートの床はよく足が冷えるといわれていますが、数値的にみると、室温18度のとき、コンクリートの床だと26〜7度あった足の甲の温度は約1時間で室温とほば同じになります。これが木材の床だと1時間経っても2〜3度温度が下がるだけですみます。私たちの食生活に欠かせない味噌汁が木で作られたお椀に入れられることだけ考えてもらうだけで、どれだけ断熱性能が高いかわかっていただけると思います。

その5 【可熱性】
 一般的に「木」は燃えやすいと考えられています。しかし、大きな断面をもった木材になると表面に着火したとしても、表層に炭化層ができ、それが断熱層の役割を果たし、燃焼の進行は遅くなります。鉄、アルミニウムは加熱したときに3〜5分でほとんど強度がなくなりますが、木材は15分経過しても約60%の強度を保つことが実験で証明されています。したがって、火災が起きたときでも断面が大きな柱や梁などからできている木造の場合、構造体としては鉄骨造よりずっと長時間維持され、高い安全性があります。
 現在社会問題となっている、ゴミの問題のなかで、建築廃材も深刻な問題となっています。いくら優れた建物でも、ある程度年月を経てば痛みますし、また、住む人の要求が変化していくなかで、建物を取り壊し建て直すことは自然の法則です。この取り壊す時の廃材が大問題なのです。もし、できるだけ木材で作っておけば、木材は焼却できます。このことも忘れてはならない特性のひとつです。

その6 【熱性能】
 住まいには、暑さ寒さを防ぐ性能が要求されます。特に日本では夏は熱帯並に暑く、冬は寒気がきびしいため、「夏涼しく、冬暖かい」住宅が望まれます。
 1年間の外気温をみると、30〜マイナス5度の変動があり、その変動の中で、鉄筋コンクリート造住宅は30〜18度、木造住宅では28〜10度という実測値があります。これをみると木造住宅の室温は鉄筋コンクリート住宅に比べ、夏は若干低く、これは私たちにとって都合のよいことですが、冬はかなり低くなることがわかります。
 これは、一つには木造住宅が開放的で、熟がにげやすいからです。また、熱の蓄熱容量がコンクリート造住宅より小さく、部屋の熱放出が少ないことなども影響しています。
 こうしてみると、木造住宅より鉄筋コンクリート住宅のほうが、熱性質では優れているようにみえますが、すべてよいことばかりではありません。熱容量の大きい鉄筋コンクリート造住宅では、夏は朝方まで室温が下がりませんし、冬には暖房しても壁等に多くの熟を奪われ、部屋が暖まるまで時間がかかります。
 日本の気象は冬を除くと、湿度はかなり高いということも忘れてはならないことでしょう。現在の住宅は温度環境をコントロールするために、従来の開放的な建築様式から密閉度の高い建築様式に変化しつつあります。ダニ・カビの問題はその過程生じたものであり、住宅における気候風土性を無視する危険さを示すものといえます。

その7 【芳香性】
 「木」には色やにおいのもとになる成分が含まれています。この成分を抽出したものが精油です。精油はまさに植物のエッセンスなのです。一つの木には50種類以上もの成分が含まれていますが、樹種によって成分の量も少しづっ異なります。それが、いろいろな樹木の独自のにおいと異なった趣を提供してくれます。含まれる成分は種類が多く、それぞれの成分が特有の働きをもっているので、木のにおいの働きは幅広く、変化に富んだものになっています。

  • 消臭作用
     日本では、古くから茶殻を畳にまいて掃除をする習慣があります。これは、畳のホコリを吸収すると同時に、茶の成分の消臭効果を利用したものです。茶をはじめとするツバキ科の植物は糞臭として知られるメチルメルカプタンや、ニンニク、魚などのにおいを消す精油成分を含んでいます。ツバキ科に限らずヒノキ精油、マツ精油、ヒバ精油等木材から作り出される精油には非常に高い脱臭率を示すことが実証されています。
  • 防ダニ作用
     最近、家に生息するダニの害に悩む家庭が増えています。ダニは気管支喘息やアトビー性皮膚炎などの原因となります。特に気管支喘息の50−90%は室内のダニに原因しています。
     木のにおいには、このダニの繁殖を抑制する作用があります。ヒノキ・スギなどの国産材、ペイヒ・ベイスギなどの北米材のにおいでダニの繁殖が著しく抑えられることが確かめられています。
  • 殺虫作用
     植物の精油は昆虫の忌避剤として、古くから使用されています。スギの葉を蒸した蚊取り線香、クスノキから得られる樟脳(殺虫剤)などがその例です。また、木材を食害する代表的なシロアリにも木材のにおい成分、大いに寄与しています。ヒノキ・コウヤマキ・サワラ・ヒバなどにはシロアリを殺したり、追い払ったりする作用がある成分を含んでいます。
     昆虫忌避剤の研究は盛んに行われていますが、多くの精油が忌避効果があると報告されています。
  • 抗カビ、抗菌作用
     木のにおい成分の中には、クロカビ・アオカビ類・木材腐朽菌・黄色ブドウ状球菌・大腸菌、さらに、虫歯菌などの殺菌に抵抗力のあるものがあります。特にヒノキ・ヒバのにおいには強い抗菌性のあることが試験結果により明らかになっています。木のにおいには抗生物質や合成薬品のような強力な抗菌作用がありませんが、反面穏やかに作用するため、副作用が少ないという特徴があります。環境汚染・抗生物質の耐性菌などが問題となってきている現在、天然精油の作用を見直す時期にきているのではないでしょうか。 新築の家や、家具、木の器などの木製品からにおう木の香りに私たちの心は安らぎます。木には金属やプラスチックにはない温もりがあります。触れたときの柔らかさ、暖かさ、そして目に優しく映える木目の美しさ、ほかの素材にはみられない木の良さです。そして、さらに木に魅力を加えているのが、木のにおいなのです。
     木のにおいは気分を爽快にします。ほのかな木の香りが、ストレスを解消し、心身をリフレッシュしてくれます。木の香りが快適性を増進することは、さまざまな方法で実証されています。マウスの実験によるヒノキ葉精油がどんな影響を与えるかというと、0.003ppm揮散した状態にすると無臭時に比べ平均約1.8倍の運動量の増大がみられ、トドマツでは0.08ppmの時、運動量のピークが観察されなんと2.7倍の増大となっています。これは森林大気中のにおいに近い濃度で、運動が最も活発になっています。体重の増加量、積食量が毎日一定で安定していることから、運動量の増加は明らかに木のにおいによる快適さのためであることがわかります。
     また、木のにおいのもとで睡眠時の脳波には心地よく眠っているときに現れるα波が平均20〜30%も増大したことが報告されています。木のにおいのもとでは、ストレスによって現れる精神的発汗が少なくなり、指先の血流量が増大し、指先の皮膚温が上昇し、脈拍数が安定します。さらに、木のもとで睡眠をとると疲れが早くとれ、次の日の作業能率を上げることも実証されています。
     人知れず、絶え間なく香り続ける木のにおい。人に安らぎを与え、害虫も追い払い、カビを防ぐ不思議な力を持つ木のにおい。木の香りは明日への活力もつくりだしてくれるのです。
[まとめ]

 以上「木」について記述してきたが、すべて「木」の良さだけを書いてきた。実際には欠点もある訳で、たとえば、精度の問題、曲り・反りあるいはひび割れの問題など何点か上げられる。
 しかしながら、それぞれの欠点は、製品化する過程において、いくらでも対応することのできることであり、それに対し「木」にかわる、また「木」以上の住まいの内装材は他に絶対になく、今後何年経ってもけっしてできないであろうと、改めて感じていただけたと思う。